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毎日(全然)短いブログ390 – 菅原洋一を観に行った話

日々徒然

御年89歳、間もなく90歳の菅原さんが今もライブハウスで歌っているなんてそれだけで沁みる!(@上野QUI)

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小学校低学年の頃に、祖母が菅原洋一のファンで地元に来ていたコンサートにしぶしぶ付いて行ったことがあった。「私は興味ないのに親にプッシュされて連れて来られた」という温度差も相まって、幼い私には楽しめないショーだった。(ごめんなさい!)以降、歌番組で菅原さんを拝見しても親の鬱陶しさと結びついていたので良い印象は持てないままでいた。

次に菅原洋一の音楽を聴いたのは、6年くらい前。90代後半になった祖母が施設で寝たきりだったときに、お見舞いの際ベッド横で一緒にYouTubeのコンサートを聴いたときだった。祖母はもう痴呆も進んでいたのだが、菅原さんの曲にうっとりした顔で聞き入っていた。「間もなく100歳になるおばあさんを、恋の歌でうっとりさせてしまう菅原洋一ってすごいな!」そう思って聴いていた。

それから祖母は101歳で亡くなり、お見舞いで一緒に曲を聴く時間もなくなった。

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そして先月末、ふと「そういえば、菅原洋一ってご健在なのかしら!?」と思い出すことがあり、検索してみたのだ。
するとなんということでしょう!!HPをクリックすると、間もなく90歳を迎える菅原洋一は引退どころか、月1本くらいのペースで今もライブをしていると書いてある!凄すぎる!しかも最近シングルを発売していると。

衝撃を受けた私は思わず直近の東京のライブを予約し、そして遂に今日、その菅原洋一を観に行ったのであった。30年ぶりくらいに生で観る菅原洋一だ。不忍池の近くにあるライブハウスで、着席で4~50人くらいだったろうか。私の親世代の来場者が多かったけれど、ちらほらとお若い方もいた。

ステージはピアノ、歌、チェロのシンプルな編成で「知りたくないの」から始まった。
穏やかで繊細で、静かな優しさと強さに溢れていた。余分な装飾が一つもない歌の、言葉のひとつひとつが感激するほど美しく、私は1曲目から涙が止まらないほど心を揺さぶられた。そう、こんな音楽ライブに出会いたかったのだ!!!!

クラシックの香りがするピアノの方もチェロの方も、自然な優しい音で静かに曲の情景を作っていた。合間に「しゃべりが下手でね」と言いながらすっと曲に入る菅原さんのMCもチャーミングだったし、余計なものがまるでない優しい歌声に素直に「またいい恋愛がしたいな」と思ったりした。この歌声の深み・・・菅原さんは今が一番輝いているかも!

アンコールがないのも清々しく、約1時間のステージで良い歌をじっくり聴いて、静かに帰り道についた。

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90歳でもこうして歌っていること、そしていい曲を丁寧に歌う音楽がこんなに素晴らしいことを目の当たりにして、すごく勇気をもらった。